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日本人同士の離婚、国際裁判管轄

日本人同士の離婚、国際裁判管轄

公開日
2019/08/22  情報更新日 2024/9/4
Q&A

国際離婚についてQ&A

国際離婚に関する質問

私たち夫婦は日本国籍ですが、現在、アメリカに住んでいます。日本の裁判所で離婚訴訟をすることはできますか。

経験豊富な国際弁護士からの回答

従前、判例により、離婚の裁判管轄については、被告の住所が日本にあることを原則としつつ、原告が遺棄された場合や被告が行方不明である場合、その他これに準ずる場合には、例外的に原告の住所地に国際裁判管轄が認められるとされてきました。この考えによれば、このケースのように夫婦が日本に居住していない場合には、たとえ両当事者の国籍が日本であったとしても、日本の裁判所には、国際裁判管轄が認められず、日本の裁判所で裁判をすることはできないこととなります。
もっとも、2019年4月1日に施行された人事訴訟法では、次のとおり、以前より広く日本の裁判所に国際裁判管轄が認められるようになりました。

  1. 被告の住所が日本国内にあるとき(人事訴訟法3条の2、1号)
  2. 被告が死亡時に日本国内に住所を有していたとき(同2号)
  3. 当事者双方が日本国籍を有するとき(同5号)
  4. 原告の住所が日本にあり、最後の共通の住所を日本国内に有していたとき(同6号)
  5. 原告の住所が日本にあり、日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき(同7号)

したがって、本件のように、夫婦ともに日本国籍である場合には、③「身分関係の当事者の双方が日本の国籍を有するとき」(同5号)に該当するものとして、日本の裁判所で離婚訴訟をすることが可能になりました。

では、当事者双方が日本に居住していない場合には、どこの裁判所に訴訟を提起すればよいのでしょうか。当事者双方が日本に住んでいない場合には、当事者のどちらも日本に普通裁判籍がありません。そこで、このような場合、東京都千代田区を管轄する家庭裁判所の専属管轄となる、つまり東京家庭裁判所に訴訟を提起すべきこととされています(人事訴訟規則第2条)。

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