日本の離婚を海外で反映させるために海外の弁護士から戸籍謄本にアポスティーユを取得するように言われました。アポスティーユとは何ですか。どこで取得しますか。
- 公開日
- 2024/10/01
ハーグ条約Q&A
アポスティーユとは
アポスティーユとは、認証不要条約(ハーグ条約)という条約に基づき、同条約の定める方式に従って公文書に記載あるいは添付された証明文のことを言います。証明文の様式は条約に定められており、この様式に従った証明文が記載されている公文書については、「認証」が免除されます。ここでいう「認証」とは、「当該文書の提出されるべき国の外交官又は領事館が、署名の真正、文書の署名者の資格及び場合により文書に押されている印影の同一性を証明する手続」をいうとされています(ハーグ条約第2条)。
証明文の様式は、一辺の長さが少なくとも9センチメートルの正方形であることを要するとされています。
ハーグ条約では、証明文は、証明する文書それ自体に付けてもよいですし、それとは別にその文書に結合した書面(補箋)に記載してもよいものとされています(ハーグ条約第4条)。補箋とは、本紙に補い、付け足す紙片のことをいいます。
外務省のホームページでは、アポスティーユについて、「認証不要条約に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことをいう」と説明されています。「付箋」というと何のことだかよく分かりませんが(一般の方はポストイットのようなものを想像してしまうでしょう)、分かりやすく言うと、証明を要する文書に結合された外務省発行の書面のことを言います。外務省のホームページでは、上記のとおり「付箋」という言葉が使われていますが、ハーグ条約の日本語訳原文では、「補箋」という言葉が用いられており、補箋と説明する方が正確ですし、意味が分かりやすいと思います。
「補箋」という言葉は日本の法律にも使われている言葉です。手形法13条1項には「裏書ハ為替手形又ハ之ト結合シタル紙片(補箋)ニ之ヲ記載シ裏書人署名スルコトヲ要ス」と記載されています。要するに、手形それ自体に裏書をするスペースがなくなった場合に、裏書をするために手形に紙片を結合させて、裏書をすることができるということです。
ハーグ条約では、証明文は、自国の言葉で記載することができるとされていますが、現在、外務省のアポスティーユは英語で記載されています。なお、アポスティーユの表題は、フランス語で記載しなければならないとされ、日本の外務省で取得する場合でも、表題部には、「Apostille」とフランス語での記載がなされています。
証明文(アポスティーユ)には、①証明の対象となる公文書が誰によって署名されたものであるか、②その署名者が何の資格において行動する者か、③その公文書には誰の印影が押されているかについて、記載されています。つまり、外務省がこれらの事項について証明文(アポスティーユ)をもって証明しているのです。
どこでアポスティーユを取得するか
公文書にアポスティーユの付与を希望する場合、外務省に書類を持参または郵送することによって取得することができます。なお、証明できる公文書は、発行日より3か月以内の原本に限られます。また、ホチキスを外した跡があったり、書き込みがなされたりした文書については受け付けられません。
他方で、私文書にアポスティーユをそのまま付与してもらうことはできません。例えば、戸籍謄本に英文の翻訳を添付して、それにアポスティーユの付与を希望する場合は、私文書として、公証役場で手続をする必要があります。