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国際離婚事件でよく使う用語

国際離婚事件でよく使う用語

公開日
2019/09/18  情報更新日 2024/9/4
基礎知識

国際離婚でよく使う用語

アポスティーユ

アポスティーユとは、認証不要条約(ハーグ条約)という条約に基づき、同条約の定める方式に従って公文書に記載あるいは添付された証明文のことを言います。証明文の様式は条約に定められており、この様式に従った証明文が記載されている公文書については、「認証」が免除されます。ここでいう「認証」とは、「当該文書の提出されるべき国の外交官又は領事館が、署名の真正、文書の署名者の資格及び場合により文書に押されている印影の同一性を証明する手続」をいうとされています(ハーグ条約第2条)。
海外で婚姻手続、離婚手続する場合に、日本の戸籍謄本にアポスティーユを付与することが求められることがあります。

アリモニー

一般的に「離婚後扶養」と呼ばれる制度のことをアリモニーと呼んでいます。日本には、離婚した後に従前婚姻関係にあった一方が他方に対して扶養義務を負うことはありませんが、海外の国ではこのような制度を持っている国もあります。
カリフォルニア州では「Spousal suport」と呼ばれる離婚後扶養の制度があり、ドイツでも「maintenance」と呼ばれる離婚後扶養の制度があるようです。

外国判決の承認

海外で判決が下されたにもかかわらず、再度日本で裁判を行い、同じ内容の判決を獲得しなければならないとすれば、当事者に多大な労力がかかります。そこで、一定の条件を満たす場合には、外国の裁判所の判決についても、日本国内で一定の拘束力が認められます。これを外国判決の承認と呼んでいます。
海外の裁判所で離婚判決が下された場合、一般的には、当該離婚判決に日本語の翻訳文を添付したうえで、離婚届と一緒に提出をしさえすれば、特段の問題なく戸籍上も離婚が反映されるという運用がなされています。

コミュニティープロパティ

夫婦共有財産のことをいいます。夫婦共有財産の概念は国によって異なります。日本では、夫婦別産制が採用されていますが、国によっては夫婦財産について共同財産制度が取られています。

渉外家事事件

当事者の国籍、住所、法律行為地、財産所在地等、当該法律問題の何らかの要素に、外国を含む事件を言います。

準拠法

どこの国の法律を当該事件に適用するかという問題について、その適用される法律のことを準拠法と言います。

国際裁判管轄

渉外家事事件に関連している複数の国の内、どこの国の裁判所が当該事件について裁判をすることができるか、という問題です。
これまで人事訴訟法及び家事事件手続法には、日本の裁判所がいかなる場合に審理・裁判をすることがでるのかを定める明文の規定がありませんでしたが、平成30年に人事訴訟法等の一部を改正する法律が成立しています。

常居所

常居所とは、相当期間居住することが明らかな地を言います。どこを常居所地とするかについて、具体的に定めた法律はありません。
他方、戸籍実務では、日本人の場合と外国人の場合に分けて、「常居所」の認定基準について通達が出されており、これに従って処理されています(平成元年10月2日法務省民2第3900号)。
具体的には、日本人の場合には、日本国内で住民登録がされていれば、日本に常居所があるとされ、国外転出のため、住民票が削除された場合でも、出国から1年以内であれば日本に常居所があると判断されます。外国人の場合には、在留資格に応じて一定の年数日本に在留する場合に日本に常居所があるものと扱われます。
裁判で「常居所」が争われた場合には、当事者の居住年数、居住目的、居住状況等の諸要素を総合的に勘案して個別具体的に判断されます。

跛行婚

婚姻がある国では認められているのに、他の国では認められていないような状態を跛行婚と呼んでいます。例えば、イスラムの国では2人以上の女性と結婚することが認められている場合があります。しかし、日本は一夫一婦制が採用され、2人以上の女性と結婚することは認められていません。ある日本人女性が一夫多妻の認められている国で、ある男性の2番目の妻となった場合、当該国では正式な婚姻として認められるでしょうが、日本では婚姻として認められません。

本国法

ある人の国籍国の法律のことを言います。一つの国籍しか有していない人の場合は本国法の決定が問題になることはありませんが、二重国籍、三重国籍を有している人の場合には、どこの国の法律が本国法なのか問題になります。法の適用に関する通則法38条が本国法について規定しています。

ミラーオーダー

主にハーグ条約に関する手続において用いられる用語です。日本の裁判所で子の返還に関して合意をしたとしても、その合意内容は子の常居所地国では強制執行力がありません。そこで、子の常居所地国において日本の裁判所の調停内容について強制執行力をもたせるため、常居所地国の裁判所で、日本で合意した内容と同じ内容の裁判・命令を取得することがあります。この裁判・命令をミラーオーダーと呼んでいます。日本の調停の内容を鏡(ミラー)のように反映した裁判・命令(オーダー)であることから、ミラーオーダーと呼ばれています。

離婚後扶養

アリモニー(alimony)、メンテナンス(maintenance)などと呼ばれる離婚後に元配偶者を扶養する制度です。欧米に多くみられる制度のようですが、日本ではこのような制度は存在していません。

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