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ハーグ条約について

ハーグ条約と国境を越えた子供の安全保障

「ハーグ条約」は、国境を越えた不法な子の連れ去り(一方の親の同意を得ずに日本に帰国すること)や留置(一方の親の同意を得て日本に帰国した後、約束の期限を過ぎても子どもを元々住んでいた国に戻さないこと)によって生ずる子への悪影響から子を守るために、元の居住国に子を迅速に返還するための国際協力の仕組みや国境を越えた親子の面会交流の実現のための協力について定めています。ハーグ条約の締約国は、2022年11月時点で、103か国です。
また、日本では、ハーグ条約を国内で実施するために必要な手続等を定める国内法として、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」(ハーグ条約実施法)が制定されています。
なお、子の返還申立ての手続は、子の監護者や親権者を決める手続そのものではなく、常居所地国(元々住んでいた国)において常居所地国の法令に従い、監護者や親権者を決めるための前提となる手続です。

ハーグ条約とは

ハーグ条約では、国境を越えた子の連れ去りや留置によって生ずる子への悪影響から子を守るために、元の居住国に子を迅速に返還することが原則とされています。

ハーグ条約が適用されるケース

裁判所は、子どもの返還の申立てが次のいずれにも該当するときは、子どもの返還を命じなければならないとされています。

  1. 子どもが16歳に達していないこと
    ※返還の申立てがされたのが16歳未満であったとしても、裁判中に16歳に達してしまった場合には、ハーグ条約の適用がなくなります。
  2. 子どもが日本国内にいること
    ※子どもが海外から日本に連れさられた後、さらに第三国に連れ去られてしまった場合には適用がないと考えられます。
  3. 常居所地国の法令によれば、連れ去り・留置が申立人の有する子どもについての監護権を侵害するものであること
  4. 連れ去り・留置の開始時に、常居所地国が条約締約国であったこと

例外的に返還を拒否できる場合

上記の場合であっても、以下のいずれかの事由(返還拒否事由)に該当する場合には、子どもを返還するのは子どもの利益に反するとの観点から、例外的に返還を拒否できるとされています。

  • 子の連れ去り・留置から1年を経過し、子が新しい環境になじんでいると認められるとき
  • 子の連れ去り当時、他方の親が実際に子を監護しておらず、あるいは同意や追認をしたとき
  • 子の返還によって、子の心身に害悪を及ぼしたり、耐え難い状況に子どもを置く重大な危険があるとき
  • 子の意見を考慮に入れることが適切な程度に子が成長している状況で、子ども自身が返還を拒んだとき
  • 基本的人権の観点から容認されない場合

ハーグ条約に反対する人たちが挙げる理由は、夫のDV等から逃れるために日本に帰国したにも関わらず、日本政府が子どもの返還を命令するのは、子の福祉に反しているという点です。ハーグ条約では、このような点にも配慮して、返還拒否事由が定められているのです。

外国に子どもを連れ去られてしまった場合

日本は、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(いわゆる「ハーグ条約」の締約国です。
ハーグ条約では、

  1. 一方親の監護権を侵害し
  2. 国境を超えて
  3. 16歳未満の子を常居所地である日本から連れ出した場合

監護権を侵害された一方親は、子が連れ出された外国の裁判所に、子を日本に返還するよう申し立てることが認められています。

両親ともに監護権を持っているケース

一方親は、子を日本から国外に連れ去られたことで監護権を侵害されていますので、子が16歳未満であり、子が連れ去られた国もハーグ条約の締約国であれば、当該国の裁判所に子を日本に返還するよう申し立てることができます。

片方が監護権を持っているケース

両親のうち片方が監護権を持っている場合は、子を連れ去った親が監護権を持っているかどうかによって対応が分かれます。

連れ去った親が監護権を持っている場合

連れ去られた親は、子を日本から国外に連れ去られたことで監護権を侵害されていませんので、ハーグ条約に基づいて子の返還を申し立てることはできません。この場合は、親子間の面会交流の実施を検討していくことになります。

連れ去った親が監護権を持っていない場合

連れ去られた親は、子を日本から国外に連れ去られたことで監護権を侵害されていますので、子が16歳未満であり、子が連れ去られた国もハーグ条約の締約国であれば、当該国の裁判所に子を日本に返還するよう申し立てることができます。

外国から日本に子どもを連れてきた場合

同様に監護権を侵害されているか否かによって対応が異なります。

両親ともに監護権を持っているケース

一方親は、子を外国から日本に連れ帰ったことで、他方親の監護権を侵害していますので、子が16歳未満であり、当該国が子の常居所地であれば、他方親から日本の裁判所に子の返還を申し立てることができます。

片方が監護権を持っているケース

両親のうち片方が監護権を持っている場合は、子を連れ去った親が監護権を持っているかどうかによって対応が分かれます。

連れてきた親が監護権を持っている場合

連れてきた親は、子を外国から日本に連れ帰ったことで他方親の監護権を侵害していませんので、仮に他方親がハーグ条約に基づいて日本の裁判所に子の返還を申し立てても、請求が認められることはありません。
この場合は、親子間の面会交流の実施を検討することになります。

連れてきた親が監護権を持っていない場合

連れてきた親は、子を外国から日本に連れ帰ったことで、他方親の監護権を侵害しています。したがって、子が16歳未満であり、当該外国が子の常居所地国と言えるのであれば、他方親から日本の裁判所に子の返還を申し立てられる可能性があります。

ハーグ条約における返還請求の手続き

1.中央当局に申し立て

子を連れ去られた親は、日本または当該国の中央当局に対して、子の返還に関する援助を申請し、要件を満たしている場合には、中央当局が常居所地国への子の返還を実現するための援助を行います。
日本では、外務大臣がハーグ条約における中央当局の役割をしており、領事局ハーグ条約室がその実務を担っています。

2.子どもと連れ去った親の所在調査・特定

連れ去り親が、子を具体的にどこの国に連れ去り、現在どこに所在しているのかを調査して特定する必要があります。たとえば、子の旅券番号から渡航先を調べたり、渡航先の国における証拠調べ手続制度などの利用が考えられます。

3.協議よる解決の支援

中央当局は、合意による子の返還に向けた協議のあっせんなども行っていますが、返還が合意されない場合やあっせんを希望しない場合には、ハーグ条約に基づいて子の返還の申立てを行うことができます。
また、返還手続において、連れ去り親が子を第三国に出国させるおそれがある場合には、出国禁止命令の申立てもできます。

4.裁判所に返還の申し立て

日本の場合、子の返還申立事件の手続は、子の住所地により東京家裁と大阪家裁のいずれかとなります。家裁では、申立後6週間以内に決定を出すよう、原則として申立てから2週間程度を目処に第1回の期日が指定され、第1回目の期日で争点を整理し、第2回目の期日で審尋を行うという審理が行われており、当事者にも代理人にも迅速な対応が求められています。

5.返還拒否の判断

一方親による子の連れ去りが、

  1. 一方親の監護権を侵害し
  2. 国境を超えて
  3. 16歳未満の子を常居所地である日本から連れ出した場合

には、原則として子を常居所地国へ返還するよう命じられます。

もっとも、常居所地国に子を返還することによって、

  • 子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐えがたい状況に置くことになる重大な危険がある場合
  • 不法な連れ去りまたは留置の開始時から1年以上が経過し、子が新たな環境に適応している場合
  • 子が常居所地国への返還を拒否している場合

などは、例外的に返還が認められません。

子どもを連れ去られた、連れてきてしまった方へ

子の国外への連れ去りは、連れ去られた親と連れてきた親との間で大きな紛争に発展する可能性を秘めています。また、手続面においても、限られた時間の中で、日本と外国のどちらの法制度も踏まえて申立てや応訴の準備をしなければならず、連れ去られた親も連れてきた親も相当の負担を負うことになります。子どもを連れ去られた、あるいは連れてきてしまった方は、一刻も早く、まずは弁護士等の法律の専門家に相談してください。

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